http://www.nikkei.co.jp/mj/
「安心」育成、コストの壁
「食の安心・安全」は自らの手で育てる――。小売りや外食企業が青果などの生産段階まで入り込むことができる自社農場。トレーサビリティー(生産履歴の管理)を徹底でき、放射性物質の検査も機動的に行えることから、消費者の不安払拭へつながるとの期待は高い。ただコストや規制など、拡大を妨げる壁は多く、参入企業は覚悟を問われる。
小売り・外食の自社農場
大分県臼杵市でワタミグループが運営する7・5ヘクタールの「臼杵農場」。その一角のビニールハウス(約800平方メートル)では、1月中旬に植えられた4000本のグリーンリーフレタスが整然と並ぶ。無農薬で育てているだけに、担当者は生育状況のチェックに余念がない。3月下旬には収穫され、居酒屋「和民」などへの出荷が始まる。
店ではメニューに自社生産を大きく表示。これらのレタスを用いた「有機野菜のシーザーサラダ」は「子供に安心して食べさせられる」と人気を集める。原発事故以降、外食店でも食材の産地を気にかける消費者が増えているのは追い風だ。
だが、農業運営自体は順風満帆というわけではない。ワタミが自社農業を始めたのは2002年。
この10年で8つに広げたが 農業生産法人、ワタミファーム(千葉県山武市)が黒字化したことはない。
開設時などに有機栽培に適した土地への改良に多額の費用が必要になるほか、事務所建設、トラックやトラクター購入といった初期投資の償却負担も重い。経費の4割を占める人件費は「ギリギリの人数で減らしにくい」(岡田拓也臼杵農場長)。納入先のグループ企業もメニュー価格への転嫁を防ぐため、高単価では買わない。
臼杵農場は開業3年目にあたる13年3月期に黒字化が見込まれる珍しいケースだが、これは誘致に積極的だった自治体の支援があってこそだ。
市などは土壌改良工事費約500万円を負担、トラクター購入費の半額も補助し、使途を定めない補助金300万円も供与した。
「補助金がなければ黒字化は不可能だろう」(岡田農場長)ワタミファームの農場運営経費内訳 臼杵農場の場合(7.5ha)
人件費 40% ・正社員3人とアルバイト約10人(繁忙期の臨時雇用含む)
減価償却費 10% ・トラクター購入費に臼杵市などが補助。減価償却費は他の農場よりも少ない
肥料費 10% ・准肥事業に力を入れる市からの准肥は他の農場よりも良質でコストもほぼ変わらない
種苗費 10%
その他 30%
【備考】「ECO JAPAN -成長と共生の未来へ-」(2009年5月20日)より抜粋
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20090514/101403/
外食大手ワタミが農業部門で悲願の黒字化
武内智ワタミファーム社長 農業成功のカギは規模と土と人材にあった
聞き手/中西清隆、林愛子 写真/蔦林幸子
外食大手ワタミグループが、ついに農業部門で黒字化を達成した。このところ農業ビジネスへの注目度は高いが、採算確保は容易ではない。なぜワタミは参入7年目にして農業を軌道に乗せることができたのか。グループの農業部門を一手に担うワタミファームの武内智社長に聞く。
――5月12日に、2002年から手がける農業が2009年3月期決算で黒字との発表がありました。これまで多数の企業が収益悪化で農業事業から撤退していますが、御社の成功の要因はどこにあったのでしょう。
武内智氏(以下、敬称略): 黒字化は1つの節目ではありますが、成功だとは思っていません。本来、農業は良い土の農地で、きちんと計画を立てて生産すれば、それほど大きな赤字が出るビジネスではないからです。
私が最終的に目指しているのは日本中に有機農業を広めていくこと。現状、有機農産物は価格が高くて、富裕層や食への関心が高い人だけのものになっていますが、収入が低い人にも若い世代にも食べてもらいたいんです。何も考えずに選んでも自然と有機農産物を口にできるくらいまで、有機農業を広められたら成功でしょうね。
――有機農産物の価格が高いのはなぜでしょうか。
武内:生産コストが高いわけではありませんが、有機農業に対する国の補助金は十分だとは言えません。
しかも、小規模生産者が多く、全国農業協同組合(JA)を主体とした既存流通に乗らないことが多い。生産者が自ら販路を開拓し、物流を手配するのは大変なんです。出荷量が少なければ宅配便を使いますから、100円のレタスを運ぶのに1個100円のコストがかかることもあり得ます。その結果、有機農産物の価格は一般農産物の2割から5割増し、ときには2倍となってしまうんですね。
ワタミグループが農業に参入した理由も、市場で有機農産物の仕入れをすると調達コストがかかり過ぎるからです。そこで我々がこだわったのは規模。現在は全国8カ所に農場がありますが、いずれも4tトラック1台満載で出荷できる規模で生産することで、物流コストを低減しています。
――600店舗以上の飲食店を擁するワタミグループだからこその規模と言えそうですね。
武内: ワタミグループでは食の安全・安心ために有機農産物の使用を拡大していて、そのうちの約3割がワタミファームの農産物です。ほかには、業務用や小売用として外部に卸しています。グループ内販売だけでは当社の成長が限定されますし、有機農業を全国に広められませんから。また、外部に売ることで商品力が向上します。有機農産物も市場の農産物と対抗できるレベルにならないといけません。
とはいえ、農業はいまだに儲かる事業ではありません。代々受け継いだ農地と農業機械を持つ農家が補助金をもらって成り立ってきた世界ですからね。新規参入した企業が容易に利益を出せるものでもなく、まずは投資回収のハードルを下げることが重要です。
例えば、トラクターなどの農業機械は新品だと500万円から1000万円かかります。リースで初期投資を抑えるのも1つの方法ですが、当社では投資全体に抑えるために、主に中古を購入しました。価格は新品の半値以下。農業はほかの事業よりも投資回収に時間がかかりますから、こうした積み重ねが効いてくるんです。
「有機野菜生産・販売のワタミファーム」(会社概要)より抜粋
http://www.watamifarm.co.jp/new/corp_new/corp_new.html
農業生産法人 有限会社ワタミファーム
所在地 〒289-1226 千葉県山武市横田191
TEL 0475-80-8085 FAX 0475-89-0111
設立 平成14年4月18日
資本金 300万円
代表取締役 磯野 健雄
決算期 3月平成14年 1月 千葉県山武町にて農場運営を開始(3.2ha)
平成14年 4月 有限会社ワタミファーム設立(資本金300万円)
平成15年 9月 株式会社 ワタミファーム設立
(有限会社ワタミファーム組織変更)
農業生産法人 有限会社 ワタミファームを新規設立
平成22年 4月 大分県臼杵農場開設(7.4ha)
【備考】「社団法人 日本農業法人協会」より抜粋
http://hojin.or.jp/standard/i_about.html
農業法人とは、「法人形態」によって農業を営む法人の総称です。
この農業法人には、「会社法人」と「農事組合法人」の2つのタイプがあります。
また、農業法人は、農地の権利取得の有無によって、「農業生産法人」と「一般農業法人」に大別されます。
農業生産法人は、“農業経営を行うために農地を取得できる法人”であり、株式会社(株式譲渡制限会社(公開会社でない)に限る)、農事組合法人(農業経営を営む、いわゆる2号法人)、合名会社、合資会社の5形態です。
また、事業や構成員、役員についても一定の要件があります(ただし、農地を利用しない農業の場合は農業生産法人の要件を満たす必要はありません)。
法人化する場合、どのタイプの法人を選ぶのか、それぞれの法人形態の特色や自らの経営展望に照らして選択する必要があります。
【備考】「日本農業新聞 e農ネット -」(2010年1月21日)より抜粋
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin1/article.php?storyid=2577
新モデル構築へ 販売部門てこ入れ/ワタミの農業事業
居酒屋大手・ワタミの子会社である(株)ワタミファームは今年上半期中に、農業の新たなビジネスモデルを再構築する。
同ファームが行っていた農産物の仕入れ、販売部門を別の子会社に移すなど、特に販売部門をてこ入れする。
ワタミの経営で、農業を外食、介護、食事宅配に続く第4の柱に育てる。
ワタミの渡辺美樹会長は20日、同ファームが今期も赤字となることを示唆。要因として、農業の難しさやワタミの支援不足を挙げた。
そのため「責任を取って私が(ファームの)社長に就いてビジネスモデルをつくり、次の株主総会で提案、若い経営陣に引き継ぎたい」と話した。
(株)ワタミファームの武内智社長は顧問として今後も経営を後押ししていく。
【備考】「流通ニュース」(2011年01月27日)より抜粋
http://www.ryutsuu.biz/strategy/d012707.html
ワタミ/農産関連事業強化で子会社合併
ワタミは1月25日、連結子会社のワタミ手づくりマーチャンダイジングとワタミファームを合併すると発表した。
農産物の卸売・外販・宅配等の農業関連事業の取り組みを強化するため、製造・仕入部門と一体で運営・管理を行い、ワタミグループにおける1次産業、2次産業の成長・拡大を図るため合併する。
ワタミ手づくりマーチャンダイジングを存続会社とし、ワタミファームを消滅会社とする吸収合併方式で合併を実施する。


